ライセンスグループ マネージャーの千崎です。
今回は、少し仕事から離れたところから、仕事の話を書いてみたいと思います。
きっかけは、中学1年生の息子が参加したプログラミング教室の発表会でした。
子どもたちの作品やプレゼンを見ているうちに、
「自分はいつから、これを当たり前だと思うようになったんだろう?」
「大人になることで、逆に見えなくなっているものもあるんじゃないか?」
と、いろいろ考えさせられました。
今回書きたいのは、子育ての話というより、子どもたちを見ていて改めて気づいた「仕事や成長のヒント」です。
・自分の現在地を知る
・「当たり前」というバイアスを疑う
・意思ではなく、仕組みで解決する
・モチベーションとの付き合い方
・AI時代における、自分たちの価値
この5つについて、私なりに考えてみたいと思います。

1. 成長は「現在地」を知ることから
私には、中学1年生の息子がいます。
正直、めちゃくちゃ溺愛しています(笑)。
今では身長175cm。
「めちゃくちゃデカく育ったな」と思いながら、日々その成長を眺めています。
息子は昔からゲームが大好きで、将来は自分でゲームを作りたいという夢を持っています。
その夢を少しでも応援したいと思い、小学2年生の頃からプログラミング教室に通わせてきました。
最初に触ったのはScratch(スクラッチ)。
ブロックを組み合わせながら、アニメーションや簡単なゲームを作るところからのスタートです。
もともと好きなことには、とことん集中するタイプで、レゴでもゲーム制作でも、一度始めると完成するまでやめませんでした。
レゴを作り始めると、ご飯を食べるのも忘れてしまう。
親としては「ご飯ぐらい食べてくれ」と思いますが(笑)、それだけ夢中になれるものがあることは、すごくいいことだと思っています。
中学生になり、もう少し本格的にゲーム制作を学ばせたいと思い、現在はN Code Laboに通っています。
通い始めて約5ヶ月。
先日、自分で作ったゲームを発表する「LT大会」に、息子もエントリーしました。
LTとはLightning Talk(ライトニングトーク)の略で、5分ほどの限られた時間で、自分の作品や成果を発表する形式です。
私がこの教室を選んだ決め手のひとつも、プログラミングを学ぶだけでなく、「自分の作ったものを人に伝える経験」ができることでした。
「なぜこれを作ったのか」
「何が面白いのか」
「どこを工夫したのか」
これを自分の言葉で伝える。
考えてみれば、仕事でもまったく同じです。
どれだけ良い商品やサービスを作っても、その価値を相手に伝えられなければ、届きません。
大会には、小学生から高校生まで約20名が参加し、一人約5分で、それぞれが自分の作品を発表していきました。
発表を見ながら、私は息子が小学2年生の頃、Scratchでキャラクターを動かして喜んでいた姿を思い出しました。
あの頃から少しずつできることが増え、今は自分でゲームを作り、それを人前で説明している。
当然ですが、いきなり今の場所まで来たわけではありません。
できることを一つ増やして、また次へ進む。
その積み重ねが、今の姿につながっています。
それを見ていて、仕事も同じだと思いました。
私たちは「もっと成長したい」「もっと良くしたい」と思ったとき、すぐに「次に何をするか」を考えがちです。
でも、その前に必要なのは、
「今、何ができているのか」
「何がまだできていないのか」
「どこで止まっているのか」
をきちんと知ることなのだと思います。
現在地を知るというのは、できていない自分を責めることではありません。
次の一歩を決めるために、今の自分を正しく見ることです。
息子の成長を見ながら、そんな当たり前のことを改めて考えさせられました。
2. 大人になるほど「当たり前」が増えていく

LT大会が始まる前には、参加者や家族同士でゲームをするアイスブレイクがありました。
ちなみに仕事ではないので、ここでは私の持ち前の人見知りがしっかり発動しました(笑)。
そこで遊んだゲームも、生徒がUnityで制作した自作ゲームでした。
「世の中の人のうち、何%くらいの人が〇〇をしていると思う?」
という割合を予想するゲームです。
気球につながれた風船があり、自分の予想と実際の数字のズレによって、風船が割れていく仕組みになっていました。
やってみると、
「自分ではこれくらいだと思っていたけど、実際は全然違うんだ」
ということが何度もあります。
これが、思っていた以上に面白い。
考えてみれば、私たちは普段、自分が見ている世界や、これまでの経験を基準にして物事を判断しています。
でも、自分の中の「普通」と、世の中の「普通」は意外と違います。
このゲームは、そのズレを楽しみながら体験できるものでした。
そして、その後のLT大会でも、まさに「自分の中の当たり前を疑う」という意味で、印象に残った発表がありました。
それが、「かな入力」をテーマにしたタイピングゲームです。
パソコンで文字を入力するとき、多くの人はローマ字入力を使っていると思います。
私もそうです。
「か」と入力するなら「K」「A」。
「し」なら「S」「H」「I」。
普段、これを疑うことはほとんどありません。
ところが発表者は、「かな入力なら必要な打鍵数を減らせる」という点に着目し、かな入力を練習するゲームを作っていました。
その発表を聞いたとき、「なるほどな」と思いました。
ここで大事なのは、かな入力とローマ字入力のどちらが絶対に速いか、という話ではありません。
私が面白いと感じたのは、
「みんながローマ字入力をしているから、自分もそうする」
という前提そのものを疑ったことです。
先ほどの風船ゲームも同じです。
自分が「普通だ」と思っていることは、本当に普通なのか。
自分が「この方法しかない」と思っていることは、本当にそうなのか。
そこを一度疑ってみるだけで、見える選択肢が増えることがあります。
仕事でも、
「今までこうやってきたから」
「普通はこうだから」
「この業界ではこれが当たり前だから」
という言葉は、よく出てきます。
もちろん、経験は大切です。
ただ、経験が増えるほど、「こうするものだ」という思い込みも増えていく。
経験は武器になりますが、ときには壁にもなります。
子どもたちの発表を見ていると、
「なんで?」
「本当に?」
「こっちの方がよくない?」
という問いを、とても素直に持っています。
大人になるほど知識は増えます。
でも、その分だけ「当たり前」も増えていく。
だからこそ、ときどき自分の中の当たり前を外してみることが必要なのだと思います。
3.人を責めるより、仕組みを変える

もうひとつ、とても印象に残った発表がありました。
「二度寝をなくすアプリ」です。
これが、なかなか強烈でした(笑)。
アラームが鳴ったら、洗面台まで行って写真を撮らないと止まらない。
さらにオフラインの場合は、スマートフォンを200回振らないとアラームが止まらない。
聞いただけなら、
「そこまでやる?」
と思います(笑)。
でも、私が面白いと思ったのは、機能そのものよりも、その根底にある考え方でした。
それは、
「人間の意思力に頼らず、仕組みで解決する」
ということです。
二度寝をしないために、
「明日こそ絶対に起きる!」
「自分に負けない!」
と気合いを入れるのではない。
起きざるを得ない状況を、先に作ってしまう。
これを仕事に置き換えると、とても重要な考え方だと思います。
人間は忘れます。
忙しくなれば、抜け漏れも起こります。
集中力にも、体調にも、気分にも波があります。
それなのにミスが起きるたび、
「次から気をつけよう」
「もっと意識しよう」
「忘れないようにしよう」
だけで終わっていたら、同じことはまた起きます。
たとえば、
期限が近づいたら自動で通知される。
返信していない案件があればアラートが出る。
確認が終わらなければ、次の工程へ進めない。
誰か一人の記憶ではなく、チーム全員が進捗を確認できる。
そういう仕組みを作れば、人の記憶や気合いに依存する部分を減らせます。
私は、
「頑張って忘れない」よりも、
「忘れても事故にならない」
の方がいいと思いますし、安心して仕事に打ち込める環境になると思います。
ミスが起きたときに、「誰が悪かったのか」だけを見るのではなく、
「なぜ、このミスが起きる仕組みになっていたのか」を見る。
改めてにはなりますが、人を責める前に、仕組みを疑う。
中学生が作った二度寝防止アプリから、仕事の仕組み化について考えさせられるとは思っていませんでした。
4.モチベーションは「行動の前」に必要なのか

ここまで考えて、もうひとつ疑問が浮かびました。
子どもたちは、なぜここまで夢中になれるのでしょうか。
発表会では、緊張している子もいました。
それでも、自分が作ったものについて話しているときは、本当に楽しそうでした。
やらされているだけでは、なかなかここまで作り込めないだろうな、と思う作品もたくさんありました。
では、そのモチベーションはどこから来るのか。
私の好きな芸人の一人、キングコングの西野亮廣さんが、モチベーションについて興味深い考え方をされています。
西野さんは、モチベーションを「行動するための最初の燃料」とは捉えていません。
まず行動する。
その結果、誰かに喜ばれたり、褒められたり、小さな成果が出たりする。
その結果が、「もっとやってみよう」という次のモチベーションになる。
つまり、モチベーションは一歩目の前にあるものではなく、動いた先で生まれるものだ、という考え方です。
これは、子どもたちを見ていて、とても腑に落ちました。
最初から「プログラミングを極めるぞ」と思っていたわけではないかもしれません。
キャラクターが動いた。
ゲームが完成した。
先生に褒めてもらった。
友達が遊んでくれた。
「面白い」と言ってもらえた。
そんな小さな「できた」が積み重なって、
「もう少し作ってみたい」
「もっと面白くしたい」
につながっていく。
さらに西野さんは、仕事をモチベーションという不安定なものに依存させず、モチベーションが低くても動ける環境を作ることの重要性についても話しています。
ここで、先ほどの「仕組み」の話とつながりました。
やる気があるから動くのではなく、まず動ける環境を作る。
締切を決める。
人に約束する。
小さく始める。
結果が見えるところまでやってみる。
その結果が、次のモチベーションになる。
私自身も、「やる気が出たらやろう」と考えるのではなく、
「やらざるを得ない環境を、どう作るか」
を考えた方が、ずっと再現性が高いと思います。
モチベーションを上げる方法を探すより、まず一歩動ける仕組みを作る。
これは、仕事でも日常でも使える考え方だと思います。
5. AI時代に、私たちに残る価値

今回の発表会を見ながら、最後に考えたことがあります。
これからAIは、さらに身近になっていきます。
調べる。
整理する。
文章を書く。
画像を作る。
アイデアを広げる。
コードを書く。
これまで人間が何時間もかけていたことを、AIが短時間で支援してくれる場面は、ますます増えていくと思います。
では、そんな時代に、人間の価値はどこにあるのでしょうか。
以前なら、
「発想力こそ人間の価値だ」
と言えたかもしれません。
でも今は、AIも大量のアイデアを出してくれます。
だから私は、人間の価値は「アイデアを出すこと」だけではないと思っています。
大事なのは、
「そもそも、何を良くしたいのか」
「誰の、どんな困りごとを解決したいのか」
「本当に今のやり方が正しいのか」
という問いを持つこと。
そして、AIが出してくれた100個の案の中から、
「自分たちは、これをやる」
と選ぶこと。
さらに、それを現実のものとして形にし、相手に届け、うまくいかなければ直し、最後までやり切ること。
そこには、責任が伴います。
二度寝防止アプリも、かな入力のゲームも、スタートはとてもシンプルです。
「二度寝してしまう」
「本当にローマ字入力が当たり前なのか」
という、身近な違和感から始まっています。
AIに答えを求める前に、
「何を問うのか」
を決めるのは人間です。
そして、その答えを現実の中で使える形にし、再現できるところまで仕組みにする。
私は、そこにこれからの自分たちの価値があると思っています。
これは仕事でも同じです。
お客様から言われたものを、そのまま作るだけではなく、
「本当に求められているものは何か」
「もっと良いやり方はないか」
「どうすれば、次も同じ品質でできるか」
まで考える。
企画して、作って、売って、運営して、そこで得たものを次に生かす。
AIという強い道具が増えるからこそ、私たちは今まで以上に、
「何をするか」
「なぜするか」
「どうやり切るか」
を考える必要があるのだと思います。
最後に子どもから教えてもらったこと

今回の発表会で、私は子どもたちからたくさんのことを教えてもらいました。
今の自分を知ること。
当たり前を疑うこと。
人の意思に頼りすぎず、仕組みを作ること。
やる気を待つのではなく、まず動いてみること。
そして、自分で問いを持ち、最後までやり切ること。
振り返ってみると、どれも特別に難しい話ではありません。
むしろ、子どもの頃なら自然にやっていたことなのかもしれません。
分からなければ、
「なんで?」
と聞く。
面白そうなら、とりあえずやってみる。
失敗したら、違う方法を試してみる。
できたら、もっとやりたくなる。
大人になると経験が増えます。
それは間違いなく財産です。
でも、その経験によって「こうするものだ」と決めつけてしまったり、失敗しない方法ばかりを選ぶようになったりすることもあります。
だから、ときどき子どものように、
「本当にそう?」
「もっと面白くできない?」
「とりあえずやってみよう」
と考えてみる。
AIがどれだけ進化しても、この姿勢はきっと大切なのだと思います。
子どもに教える立場だと思っていたのに、気がつけば、教えてもらっているのは私の方でした。
ということで、息子よ。
これからも父親に、いろいろ教えてください(笑)。